2014年9月18日木曜日

重ねる

いつもショーの写真を見ると本当にこれ自分なのかと何かマリオのキノコでも食べていたんじゃないかと思うほどです。でも毎シーズン毎シーズン見る景色や感動する事柄が変わって、昨年ファーストシーズンを迎えた時は本当に何が何だか分からないけどとりあえずやってみようと、どんなことも最初は興味や好奇心から始まって、初めてその時、私は皆がこんなことを経験して表舞台に立っていたのだと知りました。

そして次のシーズンは、雑誌でしか見たことが無かったトップモデルの人達を間近で見て、そのうち一人の方は何回見ても見てしまうほど、見ていてこちらが美しい音楽でも聞いているような感覚になる人っているのだと大きな衝撃を受けました。
Johnのショーでは彼のドレスを纏った時にドレスに彼の心が宿っていると感じて、それはとても優しくて繊細でそれを着た日はもう他の服は着ることは出来なかったです。それほどに繊細な心を持っていて、ショーが終わった後にJohnのスタイリストさんとJohnにあなたはJohn Rochaにとって最高のモデルだと言って貰えたことが心から嬉しくて、言い方が合っているか分かりませんが一生懸命着て良かったとその時思いました。

今シーズンはAmandaのショーで体が合うように前日サイズを縫い直してくれて、ショーが終わった後の彼女のハグと言葉は目からキラキラしたものが出るかと思いました。彼女の服が私をそのようにしてくれるのであって、服が持っている魔法は本当に不思議だし、それに合わせたヘアメイクさん達のお仕事も本当に凄いです。大変なことも色々あるけど、というかここだけの話なんでやーーーと思うことばっかりでもう二度とっていつも思うけど全てここでしか知り得なかったことです。その中での人々の優しさが物凄く身に染みて、ある朝起きたら大家さんが今日も頑張れというメモ書きとお茶碗一杯のご飯を置いていてくれて、それがロンドンで食べた一番美味しい美味しい塩味のご飯でした。何があっても必ず大きな喜びがあって、本当全てが私にとって一生の財産です。

ショーだけでなく、撮影でスーパーモデルにお会いしたときは本当にスーパーモデルって何もかもがスーパーなんだって、巨匠からしかお話で聞いたことが無かったけど全部本当だ!って思いました。シューティングを近くで出来るだけ見させて貰って、それはまたこれからの自分にとっての大きな勉強になって、終わった後に一緒に撮ってもらった写真は一生の宝物です。

UNIQLO×INES DE LA FRESSANGE  

2014年9月17日水曜日

紡ぐ



ロンドンのファッションウィークが無事に終わりました。
私、本当に来て良かった。夏に3日間だけ奈良に帰った時に夜中に祖母が昔話をしてくれたのですが、86年生きてきてその分の毎日があるのに覚えていることは特別なことしか覚えていないって、私もここで経験したことを孫に話してあげられるくらい私の人生で忘れられない経験をさせて貰ったと思っています。

奈良から東京へ、東京に来た時に未来にでも来たのかと思うくらいのカルチャーショックと、いつの間にかまた世界が広がってロンドンへ、色んな意味で小学校や中学校や高校や大学や自分の中での社会や世界の広がりにたくさんの可能性や方向性を見て、選択して決断して、そんなことの繰り返しだったと思うけど、辿り着いた今のお陰で全て起きてきたことが今の自分にとって素晴らしかったんだとそう思います。

撮影でずっと長かった髪を切って、もう自分の顔を髪で隠すことも無くなって、モデルという仕事はどれだけ自分に自信を持たせてくれたか分かりません。色んな女性にしてくれて、時には人じゃないような感じも、出会ったデザイナーさんのことも一生忘れないし、服を着ることの難しさと、ドレスと心から対話する喜びや、そしてデザイナーさん達から頂いた言葉は一生一生忘れないです。チームで撮影したことも一緒にいる時間の中での一瞬を切り取っている一枚だけれど時間と空間がちゃんとあって、写真を見れば全部その時の雰囲気や目に映っていたことがいつでも思い出せるし、本当に最高でした。

こんな世界があることと、それを見せて貰えたことに感謝です。







2014年9月6日土曜日

夏の宿題

イギリスに無事舞い戻ってきました。
8月の最後の一週はこれでもかというくらい毎日色んなことが起きて
8月30日になると、ああ8月は30日までじゃなくて31日まであって良かったなと、一気に夏の宿題を終わらせるというような学生の時と何ちゃ変わらない駆け込み一週間を過ごしたように思います。
でも今年の夏はきっと絵日記に書けば1ページ1ページとてもダイナミックに色鮮やかに、暑くてたまらないとしか思ってこなかった夏を初めて心から楽しむことができました。生きてきた中で一番夏を愛した気がします。そして何だか少し大人になったような気もします。

きっとまた日本に帰る頃には見える色が変わっているのだなと思うとそれもどう映るのかとても楽しみです。このイギリス滞在があるお陰でこんなにも一回一回日本の様々を感じることが出来るのは本当に有り難いことです。

それと同時にいつもイギリスに戻る度、緊張とドキドキが止まらなかったのも少しは緩和されて、さっきは帰りにインドの料理の試食のようなものを駅の広場でやっていて、3種類の米を試食してはインドの人にあれやこれやと、この米の味は甘いだのこれが好きだのちょっと一丁前に意見を言っている自分に驚きました。
その前はエージェントのブッカーがわざわざジョークを言ってくれるのに対し、別のブッカーのジョークも飛んで、本当聞いていた通りジョークの大好きな人達なので、最初は一回一回驚いていたのも少しはそのジョークに参戦出来るようになっていました。
そしてやっぱり思うのはこの国の何なのか分からないこの一見カオスに見える景色がどうも何かカオスではなくて腑に落ちる何かがあるなと思うこの感じは本当ロンドンの凄さだなと思います。「何か元々持ってる何かが何か知ってるこの人たち」っていうそんな感じです。イギリスにいると街も人も凄く写真を撮りたくなることばかりで、皆自分に自由で、それぞれの個性が際立っているのか凄く見ていて面白くて皆さん何だかとても素直です。この国に来るとこの土地が持っているエネルギーなのか、考える事柄や頭に浮かぶ事柄が全然違って、また自分の本質の方に立ち返ることが出来るような、何だかそんな感じがしてたまらないのと、この国から凄いデザイナーやアーティストが生まれるという理由も何だか分からなくない気がします。
それにしても本当にいつもの滞在で、毎回何かがあって、前回も自分にとってのミッションを一つだけクリアした気がするので今また彼らに会えて、たくさんのハグに夏のお話に、この人達の考えていることがビジネスとまたもう一つの事柄に、日本人以外を知らなかった私にとっていつまでも感謝に値することだなと思います。

またきっと色んなことが待ち受けていると思いますが、少しずつ少しずつ何かに向かっていると思うので毎日を迎えることでそれを確かめていこうと思います。

日本の夏よありがとう。